天然酵母パンとスーパーフードのマクロビオティック
「天然酵母ぱん ひだまりCafe nukunuku」は、かわいらしい黄色の外観がチャームポイントのお店だ。店内にはフェミニンな壁のデコレーション、チョークアートのピンクのメニューボードなど、女の子ならだれでもhappyな気分になる雰囲気。南の窓から差し込むあたたかい陽射しが心地よくて、気づくとほんのりまどろんでいる自分がいる。これは、長居してしまいそう。
nukunukuといえば、1番人気は天然酵母のパン。ナチュラルな味わいで噛むほどに小麦の香りが口に広がる。それでいてずっしりと重さがあるのが特徴的だ。店内で15分も待てば、焼きたてアツアツのパンをいただけるのがうれしい。もちろん、事前に連絡しておけばテイクアウトの時間に合わせてパンを焼いてもらうこともできる。銀座通り商店街のコワーキングスペース「Bookmark」内でもnukunukuのパンが買えるのでぜひ覗いてもらいたい。
地元で採れた有機野菜とスーパーフードをふんだんに使ったマクロビオティックの「気まぐれランチ」はヘルシー志向の女性客に大人気。パンがついてボリュームもあるので野菜不足の男性にもオススメだ。
子どものアレルギーをきっかけに、安全でヘルシーな食を追求
天然酵母ぱん ひだまりCafe nukunuku 店主の横橋 一十三(よこはしひとみ)さんは、仕込み・調理・サービスから配達まで1人でお店を切り盛りするパワフルな女性だ。4児の母でもある。結婚するまでは東京で美容師として働いていた。結婚後は子育てをしながら、主婦と料理研究家の仕事を両立。飯能のおとなりの日高市に家を購入した27歳のとき、パティシエに転職した。
彼女が食に関わっていくきっかけとなったのはお子さんのアレルギーだった。薬品アレルギーで肌に触れるものに細心の注意を払わなければならない。もちろん、オムツもダメ。添加物が入っている食べ物も口にさせられず、毎日手作りのお弁当を持たせた。「体は食べたものでできている」と考え方を変え、食材には特に気をつかった。子どもを守るため、安全・健康な食材の知識は自然と身についた。
子を想う母の愛は偉大だ。「なるべく周りの子と同じものを食べさせてあげたい」という母の努力と想いが実り、やがてお子さんのアレルギーは消え、学校の給食も食べられるようになったという。そういう経験があるからこそ、「アレルギー持ちの人やアレルギーの子どもを持つママさんを応援したい!」という彼女の想いは人一倍大きくなったのかもしれない。
女性・母・経営者。同じ境遇をもつ人びとを応援したいという想い
32歳で離婚をしたのを機に、一十三さんの第2の人生は大きくカタチを変えはじめる。「自分のお店を持ちたい」とずっと心に秘めてきた夢を実現するための起業だ。2015年9月、nukunukuをオープン。女性が知らないまちで1人でお店を始めることに大きな不安があったにちがいない。大変なこともたくさんあった。けれど、彼女はいつも笑顔で明るく乗り越えてきた。
nukunukuは一十三さんと話をする時間が楽しみで顔を出してくれるお客さまが沢山いる。ポジティブで明るい一十三さんに癒されたくて、自然と足を運んでしまうのだろう。彼女もまたお客さまに支えられている。女性であり、母であり、お店をもつ経営者であるからこそ、同じ境遇の人びとに共感できる。これからもそんな人びとを応援できる場所でありたいと、彼女は今日もお店に立ち、人びとを元気にしている。
text & photo : aya nakazato